Vertige
Live at GoldenBat
高木幹晴−坂本昌己の双頭グループ ” Vertige ” のファーストアルバム
2002年3月21日に録音された吉祥寺「GoldenBat」でのライブの中からバラード系のものを収録し
繊細で美しいアルバムになっています
加藤崇之と坂本昌己のコンビネーションも非常に良く
特に最近の加藤崇之とはまた違った、ブルージーでリリカルな一面を聴くことができます。
ジャズファンでなくとも楽しめる一枚です
Art/Com Records No.ACRC-001
発売日;2002年11月17日
title
溺 愛
dekiai
price
\2200(税込み)
songs
1.dekiai_blind love (Masaki Sakamoto) 08:49
2.The Island (Ivan Lins) 12:15
3.Blue In Green (Bill Evans) 11:35
*sample sound
4.Monika In The Park (Masaki Sakamoto) 09:52
5.Estate (Bruno Martino) 16:13
musicians
Vertige
高木幹晴(ds)
坂本昌己(p)
加藤崇之(g)
是安則克(b)
place and date
東京 吉祥寺 「GoldenBat」
2002年3月21日
sound engineer
坂本昌己
photo and jacket design
高木幹晴
photo model
Carissa Job
produce
Art/Com Records
このCDは現在 ,HMVのネット販売及びDISK UNION 、タワーレコード等で販売しています。
※ HMVアドレス: http://www.hmv.co.jp/ タイトル 「溺愛」で検索して下さい 。
タワーレコード: http://www.towerrecords.co.jp/ タイトル 「溺愛」で検索して下さい。
ライナーノーツより
タイトルの「溺愛」とジャケット写真の女性の眼に思わず惹かれてしまった。いけない、いけない、音を聴か なくては...。 というわけで、「溺愛」のタイトルどうり、思わずその気にさせられる世界が展開する演奏に久し く眠っていた危うい感覚がうごめくのを意識してしまった。このグループはドラムの高木とピアノの坂本の双頭 バンドであり、セッションバンド的に この二人以外のメンバーを変えながら活動していこうという趣向らしい。 今回はギターの加藤崇之とベースの是安則克の参加によってリラックスした良質なものになっている。
1曲目の"溺愛(dekiai_Blind
love)"は坂本昌己のオリジナル曲。
久しぶりの感覚が戻ってきた様な気がした。それはもう20数年以上も前に始めて聞いたECM(曲とかタイトルは思い出せないが)のあの感覚だった。あたりの空気がよりクリアになり空間もなんだか
広くなった様に感じられる。温度も心なしか低くなったと
感じさせる。そんな音をもったピアノで、とても新鮮な
思いに嬉しくなった。
2曲目の"The Island"はイヴァンリンスの曲であるが、短いソロに始まり、ピアノソロのあとの加藤のギターソロは、
彼のメロディアスな才能をいかんなく発揮したものである。 続く是安のベースソロも緊張感とリラックス感があり、
素晴らしい。
3曲目の”モニカ・イン・ザ・パーク”も坂本のオリジナル曲であるが、当初CDに収録の予定は無かったものであるが、坂本の師匠にあたる大口純一郎氏(p)のアドバイスにより急遽追加されたと聞く、ワルツにより展開される曲は他の曲が持っているどこか極北のような緊張感とは異なり、柔らかな陽射しのなかを心地良い昂揚(高揚)感を持ちながら歩いていくような、それでいて坂本の確かな意思が感じられ、彼とグループの許容量の広さを示す好ましいトラックといえる。ライブで聞いていたはずだが、うかつにも忘れるところであった。この曲の存在は大きいのではないか。
4曲目はマイルスデイビスのカインドオブブルーで有名な"ブルーイングリーン"である。 この曲は色々なミュージシャンが演奏しているが、ここでの演奏は今までの演奏に無いユニークで美しいもの となっている。フリーキーなイントロは加藤の別の一面を表現したものであり、このCDは加藤崇之のベスト・ パフォーマンスを示す1枚かもしれないとも思わせる曲である。
5曲目のEstateは加藤が前記の「GUITER STANDARDS」でも取り上げている美しい曲である。
1曲目の溺愛がドラマの序章であり、2〜4曲目へと一つの物語の様に進行して行くのが心地よく、話題作、 注目の作品ではないかもしれないが、このようなアルバムが意外にFavourite(愛聴盤)になるものである。
思えば、高木幹晴の名前はもう20年以上前に彼がフリージャズ・シーンに登場した頃に既に意識していた。
センスの良さが際立っていた印象があり、どこか繊細さというよりむしろ脆さが彼の周りに感じられ、それが彼
の魅力にもなっていたと思う。その後、様々な事情でジャズ・シーンからは距離を置いていたようであるが、
最近は少しづつ活動をしているようで、このCDは今年('02年3月)吉祥寺のライブ・ハウスでの演奏を収録した
ものである。彼の演奏はニュージャスシンジケートのアルバム「フォワードサスペンス」と富樫雅彦の「アルアラーフ」
で聴くことが
出来るが、今回のCDが初のリーダーアルバムである。
坂本昌己は東京で医者をやりながら都内を中心に活動しているピアニストでありジャズだけでなくクラブミュージック
等も手がける異色なピアニストである。 才能あるピアニストは多い。けれど、まずスタイルありきというタイプが多い中で
、彼は自身のエモーションに忠実な数少ないミュージシャンの一人ではないか? 溺愛(dekiai-blind love)を聴いていて
、ふとそんなことを想った。 ピアノ好きの私には
ちょっと楽しみなピアニスト、久しぶりにそんな気持ちにしてくれたのが、
彼、坂本昌己だ。
加藤崇之、是安則克の存在も忘れてはならないだろう。甘くなりがちな演奏を彼らがうまくサポートしている。
2人については多くを語る必要はないと思う。現在のジャズ・シーンで最も柔軟性かつすぐれた適応性を持った
ミュージシャンであることは私だけでなく、多くの人が認めるところである。もうベテランといわれる2人だが、その
活動はいまだにジャズシーンに於いて充分に刺激的である。
ちなみに加藤のTBM盤「GUITER
STANDARDS」と是安の「一期一会(いちごいちえ)」のアルバムは2人の創造性、柔軟性をよく表した作品である。
高木は精力的に活動するタイプとは対極にある演奏者であり、これからもぎリぎりの繊細さと危うさを持ち続けていってもらい
たいと思う。それが、彼の個性なのだから....。
最後にレギュラー・グループでないライブで彼等のベストともいえる 演奏を引き出した高木幹晴のリーダーとしての力とセンスにも大いに注目したい。
今後も当分このメンバーで続けていくようだが、次回はフリーキーでエネルギッシュな演奏も聴かせてほしいものだ。
'02.6.27 by Kei
スウィングジャーナル誌 3月号「ディスクレビュー」より
70年代半ばからニュージャズシンジケートなどで活躍、現在は愛知県豊川に住むドラマー高木幹晴を中心とするグループ
Vertigeのライブ作。高木以下4人の名前を見て想像する音と、作品タイトルやカバー・フォトとの間にあまりのギャップがあって
思わずのけぞってしまうが、実際の演奏を聴けば両者がさほど齟齬をきたしてないことはすぐにわかる。高木同様自由奔放な
感性を持つ加藤のギターも神経内科医坂本のピアノも”抑制の美学”を貫き、イバン・リンスのAやおなじみのCなどで見事な
グループ表現を見せているのだ。 ※SJ誌 P169より抜粋
スウィングジャーナル誌3月号 「勢いづく J-インディーズ・レーベル」より
アート/コム・レコードは、ビルテージの「溺愛」を第一弾としてリリース。高木幹晴(ds)、坂本昌己(p)、加藤崇之(g)
、是安則克(b)の共演が生む優しく繊細なサウンドは、ジャンルを超えて聴き手の心を捉える。 ※SJ誌 P223より抜粋